こんにちは、きちえです。
線形時不変システム
まずは線形システムと時不変システムにわけてが考えていきます。
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和と定数倍が保存される線形システム
システムへの入力\(u_1\)に対する出力が\(y1\)で、入力\(u_2\)に対する出力が\(y_2\)の時、入力信号の和\((u_1+u_2)\)の出力が各出力の和\((y_1+y_2)\)となるとき、このシステムを線形システム(Linear System)と言います。
線形システムの場合は、
\(
\begin{eqnarray}
y_1(t)=L[u_1(t)]
y_2(t)=L[u_2(t)]
\end{eqnarray}
\)
の時に
\(
\begin{eqnarray}
y_1(t)+y_2(t)=L[u_1(t)+u_2(t)]
\end{eqnarray}
\)
となります。これを一般式で書くと下記のような式で表すことが出来ます。
\(
\begin{eqnarray}
u(t)=\sum_{i=1}^{n}a_iu_i(t) \\
y(t)=L[u(t)]=\left[\sum_{i=1}^{n}a_iu_i(t)\right]=\sum_{i=1}^{n}a_iL[u_i(t)]
\end{eqnarray}
\)
同じ波形を入れたら同じ波形が出てくる時不変システム
システム\(\)Lへの入力\(u\)とその出力\(y\)の関係が時間\(t\)によって変化しない場合、このシステムを時不変システム(Time Invariant System)と言います。
時不変性システムの場合、
\(
y(t)=L[u(t)]
\)
の時に、時刻tからkだけ入力が送れた場合\(u(t−k)\)の出力\(y(t−k)\)は、
\(
y(t−k)=L[u(t−k)]
\)
と入力と同様に時刻tからkだけ遅れた値になります。
時不変システムの式は上記のように表すことが出来ます。
線形時不変システムの重要なところ
入力信号を複数の要素に分解して考えられるようになること
どんな要素に分解すればいいのかというと「単位インパルス信号」に分解すればOK
単位インパルス信号とは?
連続時間の場合はデルタ関数
今回のような離散時間の場合
\(
\delta[n]=
\begin{eqnarray}
\left\{ \begin{array}{ll}
1, n=0 \\
0, n\neq1
\end{array} \right.
\end{eqnarray}
\)
のこと
この単位インパルス応答を,入力信号の各時刻の値に対応して時間シフト + 定数倍しながら重ね合わせたものがたたみこみの計算になる
線形時不変システムの周波数応答
線形時不変かつ因果性システムにおける出力\(y(n)\)は、
\(
\begin{eqnarray}
y(n)=\sum_{k=0}^{\infty}x(n-k)h(k)
\end{eqnarray}
\)
なので、入力信号\(x(n)\)を複素正弦波\(e^{j\omega Tn}\)
として、代入すると
y(n)&=&\sum_{k=0}^{\infty}h(k)\exp(j\omega T(n-k))\\
&=&H(\omega)\exp(j\omega Tn)\\
\end{eqnarray}
\)
この時
\(
\begin{eqnarray}
H(\omega)&=&\sum_{k=0}^{\infty}h(k)\exp(-j\omega Tk)\\
&=&H(z)|_{z=\exp(j\omega T)}
\end{eqnarray}
\)
と定める周波数応答であり、インパルス応答\(h(n)\)の離散時間フーリエ変換と一致する。
つまり入力した信号が
\(
\exp(j\omega Tn)\)
に対して出力された信号が、
\(
H(\omega)\exp(j\omega Tn)
\)
となっており、複素正弦波\(e^{j\omega Tn}\)は線形時不変かつ因果性システムの固有関数であり、周波数応答はその固有値とみなすことができる。
なお、この周波数応答は複素数であり、
\(H(\omega)=|H(\omega)|e^{j\theta (\omega)}\)と表すことができる。
ここでの\(|H(\omega)|\)と\(\theta (\omega)\)は実数であり、それぞれ振幅特性および、位相特性と呼ばれている。
また、群遅延特性は\(-\frac{\partial\theta(\omega)}{\partial\omega}\)と定義される。
線形時不変システムの安定性
BIBO安定なシステム
入力信号が有界であれば、出力信号も発散せず必ず有界となる。
線形時不変かつ因果性システムがBIBO安定となる必要十分条件は、
\(
\begin{eqnarray}
\sum_{k=0}^{\infty}|h(k)|が有界
\end{eqnarray}
\)
となることである。
この数式が意味することは
証明
[1]十分性の証明
\(\delta_h\)をある整数として、\(\sum_{k=0}^{\infty} |h(x)| < \delta_h\)と仮定する。
線形時不変かつ因果性システムにおける出力の式
を用いて、
\(|x(n)|は有界(<\delta_x)\)を考えると以下の式のようになる。 \( \begin{eqnarray}|y(n)|=\left|\sum_{k=0}^{\infty}h(k)x(n-k)\right|\leq\sum_{k=0}^{\infty}|h(k)||x(n-k)|<\delta_x\sum_{k=0}^{\infty}|h(k)|<\delta_x\delta_h
\end{eqnarray}
\)
1行目の変換は三角不等式を用いて、2行目は|x(n)|は有界であること、また、仮定の\(\sum_{k=0}^{\infty} |h(x)| < \delta_h\)を用いている。
したがって線形時不変かつ因果性システムはBIBO安定となる。
[2]必要性の証明背理法を用いて有界となることを証明する。
\(\sum_{k=0}^{\infty}|h(k)|=\infty\)と仮定すると、
\( \begin{eqnarray}
x(k)=\left\{\begin{array}{ll}
sgn[h(n-k)] &(h(n-k))\neq0\\
0 &(h(n-k))=0
\end{array}\right.
\end{eqnarray}\)
sgn()は()の引数が負ならば-1非負ならば1となる関数である。
この式の場合はx(n)のとり得る範囲は明らかに\(|x(n)\leq1m\)となる
\(
\begin{eqnarray}
|y(n)|&=&\left|\sum_{k=0}^{\infty}h(k)x(n-k)\right|=\left|\sum_{k=-\infty}^{n}h(n-k)x(k)\right|\\
&=&\left|\sum_{k=-\infty}^{n}|h(n-k)|\right|=\sum_{k=-\infty}^{n}|h(n-k)| \\
&=&\sum_{m=0}^{\infty}|h(m)|=\infty
\end{eqnarray}
\)
以上より、これは矛盾であり\(\sum_{k=0}^{\infty}h(k)\)が有界となる。
安定しているとはどういうこと?
安定しているということは必ずどこかの値に収束するということ。
エアコンをつけて27℃に設定すれば27℃に収束する、もしバグでメーターが効かなくなっても、部屋の温度が-200℃にはならないこと。
教科書の理解が及ばなかったので、今回はここまで
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